彼岸という言い方は「到彼岸」を略したものです。これはインドで使われている言葉のひとつサンスクリット語の「パーラミター」(波羅蜜多)を訳した言葉で、文字通り彼岸へ到達するという意味です。
彼岸とは悟りの世界を意味し、迷いや苦悩に満ちたこちら側の岸(此の岸)に対して、あちら側の岸(彼の岸)、つまり極楽浄土のことを指しています。
では、どうしたら極楽浄土の岸へ渡れるのでしょうか?
仏教には六波羅蜜の教えがあります。
1.布施…他人へ施しをすること
2.持戒…戒を守り、反省すること
3.忍辱…不平不満を言わず耐え忍ぶこと
4.精進…精進努力すること
5.禅定…心を安定させること
6.智慧…真実を見る智慧を働かせること
こうした徳目は本来なら毎日心がけるべきなのですが、日頃は忙しくてなかなか実行できないものです。そこで、せめて春と秋、年に2回くらいは実践しようというのがお彼岸法要の意味になります。
また、何故年2回、春分の日・秋分の日を中日にして営まれるかというと、太陽が真東から出て真西に沈むため、この日に夕日を拝むことは西方にある浄土に向かって拝むことになるからです。そこで中日に夕日を拝むと特に功徳があると考えられています。
日本で最初に彼岸法要(讃仏会)が行われたのは今から約1200年前のことで、諸国にあった国分寺の僧侶が春と秋の2回、中日を挟んで前後3日間の計7日間にわたり仏を讃えお経をあげたと伝えられています。それから次第に一般の人にもお彼岸の法要として供養することが広まったそうです。
お彼岸には、ご先祖様のお墓にお参りし感謝と冥福を祈るとともに、六波羅蜜の教えを実行したいものです。
H30 3/9 投稿<本店> K・S